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長野県に学ぶべき、安い医療費で日本一長生きする医療 ~BEST TIMES 4/5配信~ [人生・生活]

かつては「短命県」として知られていながら、男女とも長寿日本一を獲得した長野県。
ずっと昔から長寿日本一ではなく、昭和40年(1965年)には、男性9位、女性26位で、女性は全国の平均寿命を下回っていた。というのも、長野県は美味しい野沢菜漬けで知られるように、漬物文化が根付いていたため、塩分摂取量も多く、脳疾患や胃がんが日本有数に多い地域だった。

厚生労働省が平成22年に発表した『都道府県別生命表』によれば、長野県の平均寿命は男性80.88歳、女性87.18と男女ともに日本一。ちなみに全国平均は男性79.59歳、女性86.35歳で、最下位が男女ともに青森県(男性77.28歳、女性85.34歳)。

■「ささえる医療」で長寿日本一

この短命県であった長野の状況を改善すべく奮闘したのが、佐久総合病院の故若月俊一先生(1910年~2006年)。数十年前から若月先生が中心となって生活や食事を改善し、早期発見早期治療できる仕組みを作ってきた。
最も有名なのが、昭和34年に日本で初めて集団検診を実施した、八千穂村の全村健康診断。すべての村民に健診を実施し、病気を早期発見・治療するだけでなく、どうしたら健康になるかを村民に教えるために、面白い劇を演じたり、村民と酒を飲んで語り合ったりした。
すると、八千穂村だけ他の地域と比べて、医療費が安くなっていった。

この結果に続いたのが、長野県の医師、保健師などで、それぞれの地域で健診を馴染め、塩分を減らす重要性を教え、昭和46年には「保健指導員」なる制度まで始めて健康づくりを推進してきた。こうした取り組みの結果として、少しずつ住民の意識が変わり、予防と健康を意識する人が増え、医療費も減り、日本で最も長生きである地域となった。介護保険が始まる以前から、自主的に「ささえる医療」の取り組みを行い、長生きした人に対しては、医師、看護師介護職、リハビリ職など他職種でケアを行い、地域を支えていた。
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■長野県は日本一長生きだけでなく、高齢者医療費が安い地域でもある

厚生労働省が発表している『平成26年度 医療費の地域差分析』によれば、後期高齢者一人当たりの実績医療費は79.3万円で、全国で6番目に低い。
だからと言って、長野は十分な医療を受けられないわけではない。地域全体として健康意識が高く、予防を心掛けているからこそ、医療費を抑えつつ長寿実現することができている。
高齢化が進んだ地域では、医療の充実が必ずしも人の健康や長寿に関係しないことが、長野県の例を見てもわかる。

長野県を日本一長生きである地域に押し上げたのは、高額な医療費でもなければ、専門医療や医師の充実でもない。若月俊一というたった一人の先生が60年前に始めた運動である。その運動がタンポポの種が広がっていくように長野中に広がった結果である。

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日本社会が直面する、認知症「1300万人」時代 ~NHKスペシャル「私たちのこれから」より~ [人生・生活]

高齢ドライバーによる交通事故、徘徊による行方不明、誰にも看取られることなく逝く孤立死――「認知症」が一因と見られる事件・事故が年々目立つようになってきた。だが、これは、世界に先駆けて日本が直面する「認知症社会」の始まりに過ぎない。2025年、国民の1割以上が認知症またはその予備群になる社会では、何が起きるのか。そして解決策はあるのか・・・

■1300万以上が認知症及びその予備群に
いまから8年後の2025年。団塊の世代すべての人が75歳以上の後期高齢者に達するこの年を皮切りに、日本は未曽有の「認知症社会」へと突入する。厚生労働省は、認知症の人が2025年に最大730万人にのぼると発表しているが、その予備群とされる軽度認知障害(MCI)の人数は明らかにしていない。
そこで、すでに発表されているデータと複数の専門家への取材により、独自の数値を算出した結果、2025年に軽度認知障害の人は580万人を超える見込みであることがわかった。認知症高齢者の数と合計すると、総数は1300万人に達する。国民の9人に1人、65歳以上に限れば、実に3人に1人が認知症あるいはその予備群の人になるという「認知症1300万人時代」が来る可能性が浮かび上がってきた。
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2025年のMCIの人数については、2012年時点で認知症の人数の8割がMCIであることから、2025年も同じ割合と仮定した場合をNHKスペシャル「私たちのこれから」取材班が試算した。 (図表:EJIMA DESIGN)

■「認知症社会」で顕在化する問題
・高齢ドライバーによる事故
認知症の人が事故に巻き込まれる「被害者」ではなく、事故を引き起こす「加害者」になる側面が大きくなってきている。国は今年3月から75歳以上の高齢ドライバーへの認知症の検査を強化。警察も免許証の自主返納の制度を推し進めているが、地方では過疎化に伴う利用者の減少から、鉄道やバスの路線廃止が続いていることから、高齢者がマイカーに頼らざるを得ない事情がある。
高知大学医学部の上村直人医師は、現在252万人いるとされる認知症ドライバーは、2025年には350万人まで増加すると試算している。警視庁が今年1月に発表した統計によれば、75歳以上の死亡事故のうち、認知症や認知機能が低下している恐れがある人の割合は5割。この3年間で1.5倍に増えている。

・徘徊などによる行方不明
警視庁の発表によると、平成27年は認知症若しくはそれが疑われる者の行方不明者数が、全国で12,000人余りにのぼった。
これにより、当該行方不明者数が3年連続で1万人を超えた。

・認知機能の衰えによるその他の問題
家がゴミ屋敷化してしまう、詐欺被害にも会いやすくなるなど。

・認知症の人を受け入れる施設の不足も深刻に
2025年は、特別養護老人ホームへ入所を望みながらも叶わない人は62万人に達し、加えて、彼らのケアをする介護人材も38万人足りなくなると推測されている。

■カギは早期対応にある
このような問題の中、手立てとして注目されるのが、認知症の予備軍とされる軽度認知障害の人にアプローチすること。それを個人の努力に頼るのではなく、社会全体として取り組んでいくことで対応できないかという方策である。
認知機能は、軽度認知障害から段階を経て低下し、本格的な認知症に移行していく。実は、この初期段階では、外部からの助けがなくても多くの人が穏やかに生活できることがわかっている。もし、この状態を長く保つことができれば、深刻な認知症患者の発生数を抑えられ、「認知症社会」の問題をかなり軽減できるはずである。
最近の研究では、その具体的な手立ても明らかになってきている。2015年に発表された、北欧のフィンランドでの「フィンガー研究」。軽度認知障害の疑いがある約1200人の協力を得て周3回、1日30分ほどの早歩きなどの運動、野菜や魚を多くとる食生活の改善、さらに、記憶力を使うゲームや血圧管理などを2年間継続してもらったところ、対象者の認知機能が平均25%も上昇したことがわっかた。日本でも同様の取り組みをおこない、効果が認められている。

■「認めたがらない」立ちふさがる壁
ところが、誰もが、早期の対応が大切だと認めていても「あなたは認知機能低下の恐れが高い方なので来てください」と対象者に声をかけると、「私はそんな人間ではない」と拒否することが多い。家族が、「様子がおかしい」と思って、認知機能の検査などをすすめても本人は「自分は違う」と認めたがらない、あるいは、認知症そのものを隠したいのではないか、など、実際に認知症高齢者を身内に抱える人々の声は厳しい。
こうした認知症の疑いがあることを認めたがらない傾向を、どう解消していくか。そのヒントになる取り組みが埼玉県幸手市の「幸手モデル」。この考え方は、医師や看護師がお年寄りに「認知機能の検査を受けて下さい」と呼びかけるのではなく、普段から彼らが自然に集まる公共施設や飲食店などを探し出し、そこに自ら出向くというもの。お年寄りとのちょっとした会話をきっかけに健康相談を行い、何らかの兆候に気づいたら、診察を進めて早期の対応へと結びつける。認知症に限らず、病気全般の兆候をいち早く見つけるための試みである。さらに一歩進んで、お年寄り同士が集まれる場を作るプロジェクトも始まっている。
誰かに的を絞って声をかけるという“ターゲット・アプローチ”ではなく、みんな丸ごと面倒を見るという“ポピュレーション・アプローチ”が重要だ。

お年寄り.jpg
=写真はイメージです=

■企業にも「認知症社会」の波
国民の9人に1人が認知症またはその予備群の人になる「認知症社会」に向けて、どんな社会を目指していけばいいのか。これまでとは異なる大胆な発想が求められる・・・

①「認知症になったとしても終わりじゃない」、という社会への転換が必要。生きていく主人公は本人。行きたい場所があったり、やりたいことがあったり、得意なことがあったりする。こうした認知症の本人たちの声を起点に、地域の人や行政がそっと応援に入ることが重要。

②企業は、商品やサービスのあり方を「認知症社会」を前提としたものに転換すべき、という考え方。バス・電車といった交通機関やコンビニ、宅配便などのサービス、プールや映画館といった大規模施設にいたるまで、認知症でも行けるような場にしておかないと顧客を失うのではないか・・・

以上のように、ヘルスケアや介護といった従来のジャンルにとらわれない企業の対応が「認知症社会」を支える上では重要な役割を持つといえる。

2025年「認知症社会」の到来。それに飲み込まれるのか、乗り越えるのか。8年後はあっという間にやってくる。



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